娘の制服採寸に付き合った。
通学カバンから運動靴、冬のコートまでが指定され、驚いた。
これが私立の学校なのね。
商品サンプルが並ぶ体育館の雰囲気に圧倒されながら娘と小一時間をそこで過ごす。
高校生活に期待し、嬉々とする娘の姿はなにか映画のワンシーンを見ているようだった。
カバンの良し悪し、ベストの大きさ、スカートの丈を私に聞かれても困る。
明らかに面倒臭がる私を連れ回し、隙があらば離れようとする姿を認めては呼び止め、いちいち声をかけてくる。
たくましい娘よ。
リボンの色なんてもってのほか。
私は絶対にしたくない。
世界を敵に回すわけではないが、大きなリボンを掲げて過ごすことを”指定”するなんてふざけているのかと思う。
そんなに毎日、陽気な訳がない。
したい時に、したい人がすればいいのに……。
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一方でこう思う。
娘の心地よさは”ここ”にある。
私の心地よさは”別に”ある。
それだけ。
それでいいのだ。問題はない。
娘は本当に良い選択をしたと思う。
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ところで夫は、つまり娘の父親は常に生きづらさを抱えている。
自分の心地よさのレールから外れたまま、今もなお突き進んでいるのだろう。
車輪がボロボロになるはずだ。
振動で車体もガタがくるはずだ。
持ち前の誠実さをいつか、自分の心地よさに向けてほしい。
娘の振る舞いから、性格や個性、気質について改めて考える。
今朝は、通学用の革靴をいつ買いに行こうかと娘が声をかけてきた。
気が早い。そして懲りないお人だ。
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