私らしく生きるーダイバーシティ&LGBTQの基礎を学んで気づいたこと

私らしく生きるーダイバーシティ&LGBTQの基礎を学んで気づいたこと

私は、一般社団法人埼玉ニュービジネス協議会に2021年にご縁をいただいて入会し、2024年度には理事としてダイバーシティ活躍委員会の委員長を務めることになった。

この委員会は以前の「女性活躍委員会」を引き継いだ形だが、最初に委員長の打診を受けたとき、有難いと感謝しながらも違和感があった。

「女性活躍」は、確かに大切なテーマだと知っている。けれども、活躍を目指すのは女性だけなのか? それ以前に自分が「女性」というカテゴリーに括られること自体に引っかかっていたのだと思う。

   

”姓”が変わった違和感を抱えて

私自身、フェミニズムのことは不勉強でよく知らないが、結婚以来「夫婦別姓」をずっと願っている人間である。

結婚の際に姓を変えたくなかったし(義母と交渉をして譲った)、名前が変わることで「私」という存在が消えてしまったような感覚があった。

結婚から23年経った今も、夫の姓「藤田さん」で呼ばれることに違和感がある。

だから「ふじともさん」と呼んでもらうことでバランスを取っていると自覚している。

ちなみに夫は、「当事者ではない」ことで積極的にこの問題に関わることはなかった。当時の状況を考えると一般的な男性の感覚だろうと思う。残念ながら……。

   

ダイバーシティの基本を学ぶ

2025年2月の定例会は、ダイバーシティ活躍委員会が担当した。

委員会メンバーと議論を重ね、まずはLGBTQについて知ることがダイバーシティを理解する上で重要だろうという結論に至り、株式会社JobRainbow 代表取締役CEO 星賢人氏をお招きした。

講演のタイトルは、

「ダイバーシティ経営の第一歩~ LGBTQ当事者が語る企業の未来~」

講演に先立ち、星さんの著書『LGBTの就活・転職の不安が解消する本』(2020、翔泳社)を手に取った。その冒頭の数ページを読んだだけで、私は衝撃を受けた。

性には4つの要素があるという。

➀身体的な性
②性自認
③振る舞いの性
④性的指向

この4つの要素の組み合わせは多様で、しかも「男性」 or「 女性」と単純に分けられるものではない。

基礎的な分類だと思うが、このような概念を知り、それまで私は「性別」というものを単純に捉えていたことに気づかされた。

   

星さんの講演は、優しく丁寧で80分間があっという間。参加された方々にも好評だった。

↓埼玉NBCの公式レポートはこちら
https://www.saitama-nbc.net/news/report/250220/

 

「女性らしさ」の違和感と「女性」としての安心感

星さんの講演をきっかけに「性」について考えるようになった。

私は昔から「女性らしさ」を押し付けられることに違和感を覚えてきたことことを思い出す。

先の4つの要素に照らすと、女性寄りの服装を好むものの、フェミニンな装いは苦手(振る舞いの性)。身体的には女性の機能を備えている。性的指向は男性だが、性自認は中性的な感覚が強い。

幼い頃の私は、男の子と遊んでばかりで女の子のグループに馴染むのはどちらかと言えば苦手だった。

もしかしたら私は「男の子」かもしれないと密かに悩んだことがある。男の子から「好き」と言われると「私は女の子に見えるのか」と、戸惑った記憶もある。

ただ、初潮を迎えた時はなぜか安心した。おてんば娘では片付けられない、何かがあったのだと思う。

   

「ノンバイナリー」という概念を知って感じたこと

また当時、手塚治虫のアニメ『リボンの騎士』が再放送され、周囲から「リボンの騎士みたいだ」と言われていた。

主人公は、男の心と女の心を持った少年?少女?だった。ショートカットで天然パーマだったからだと思っていたが、見た目だけではなく、私の内面も周囲は感じ取っていたのかもしれない。

そんな中で昨日、宇多田ヒカルさんが「ノンバイナリー」であることを2021年に公表していたという事実を知った。

「ノンバイナリー」とは、性自認がどちらもあてはまらない性のこと。その言葉さえ初めて知ったのだが「ああ、私も似た感じだ」と腑に落ちた。

姓&性の問題は「個人的なこと」では終わらない

この講演のおかげで私は改めて「自分」というものを理解する機会を得た。

今、TBS日曜劇場で放送中の御上先生で「パーソナル・イズ・ポリティカル(個人的なことは政治的なこと)」の語句が繰り返し登場している。

姓、そして性の問題が「個人的なこと」にとどまらず、社会と密接に関わっていることを実感した。

ダイバーシティを考えることは、決して特定の人のためだけではなく、誰もが「自分らしく生きる」ための第一歩なのだと今は考える。

講演タイトルの”経営の第一歩”でなく”私の第一歩”が始まった。

   

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