家族内ではネタなのだが
母は音痴。
当時の世相を反映してか、
物心ついた時から自宅にピアノが置かれていた。
私は4才からグループレッスンの
音楽教室に通った。
私の意志ではないと思う。
母が誘ったのだ。
小学2年生頃から、
個人レッスンに切り替わった。
ピアノは練習がつきもの。
毎日、それが苦痛で仕方なかった。
レッスンも単調で、
私には面白いものではなかった。
レッスンの順番を待つ間、
先生は≪缶コーヒー≫を買ってくるよう
毎回、私に頼んだ。
お駄賃は、好きな缶ジュース!
私は、
・オレンジファンタ
・グレープファンタ
・コーラ
を週替わりで楽しんだ。
ジュースが私を引き留めていた。
中学生になった。
”上半身は正面だが、下半身はそっぽを向く”
今にも逃げ出したいようなそんな感覚で
ピアノを弾いていた。
合唱コンクールの伴奏で、
初めて同級生の演奏を聴くことができた。
指の動き、音の強弱、表現力など
演奏のすべてに驚き、
レベルの差を知った。
楽譜が読める私は、
≪伴奏者の譜面をめくる係≫を拝命した。
しかし、
演奏の速さと複雑さに楽譜を追えず、
適当にめくっていたことは
誰も知らない……。
めくるタイミングを見計らいながら、
ジュースに目がくらんで過ごした自分を思い起こし
初めての挫折を味わった。
中学2年生になり、
ピアノのレッスンを辞めた。
今、母のおかげで、
私は音痴ではない。(と思う)
そして音楽を聴くことは
ずっと大好き。
ただ、4才から習った割に
私はピアノを全然、弾けない。
人間、向き不向きがあるということだ!!!