2015年の4月に初めて退職を意識した。
2017年の秋以降は、生理周期のように頻繁に退職のことが頭をよぎり、とても苦しかった。
早朝に覚醒し、退職理由をまとめたことが何度もあった。
退職届を引き出しに潜め、一日中、提出するタイミングを窺っていた日もあった。
それでも私は、直前で退職を思い留まってきた。
2020年4月、機が熟したというべきか、退職に向けて私は動き始めた。
まず、学生をやめた
4月26日
株式会社LITA代表取締役・PRプロデューサー笹木郁乃さんのメールマガジンで、在宅PR塾のスタートが告げられる。
職業柄、広報PRに関心があったのでPR塾の開講の知らせを日常的に気にかけていたのだ。
ふと、「PRで独立」という言葉が頭をよぎる。
4月27日
大学院を退学しようと決意する。
大学院へは、博物館で働く身として「専門性を深めていきたい」「好奇心に従いたい」と感じたところから、2014年の秋に修士課程を受験して2015年4月に入学した。
2018年には博士課程へ進んだ。
アカデミックな世界は新鮮で刺激的だった。
仕事へのモチベーションにもなっていた。
ただ、この1~2年は、取り立てて研究成果を上げられず、ずるずると時間だけが過ぎていた。
現状から離れる機会を逸していたのだ。
培った人間関係を失いたくなかったし、費やした時間とお金を無駄にしたくなかった。
子の面倒で両親の協力も得ていたし、博士号取得の期待も密かに感じていた。
PR塾開講のメールマガジン1通が、胸につかえていた現状を炙り出し、退学の決意につながった。
キャリアコンサルを受ける
4月28日
株式会社MYコンパスのキャリアコンサルタント岩橋ひかりさんの『最強のライフキャリア論。』(時事通信社、2020)を読む。
人生の転機についての記述に納得しながら、ワークに取り組む。
5月1日
仕事帰りにスマホを開くと、タイミング良く岩橋ひかりさんの「科学的に自分らしさを理解するキャリアコンサルティング」実施の知らせが目に飛び込んできた。
長期講座を中心にキャリア支援をするひかりさんは、基本的に個人対応はしていない。
職場の敷地も出ないうちに、ひかりさんと面談できることを“人生の好機”と捉え、コンサルティングの申し込みをする。
5月4日
FFS受験の案内が届く。
ひかりさんは、コンサルではFFS理論を採用し、その診断をもとにした客観的な助言を行う。
FFS(Five Factors & Stress)理論とは、「ストレスと性格」の研究において開発されたものです。人が恣意的、無意識的に考え、行動するパターンを5因子で計量し、ストレス値においてポジティブな反応か、ネガティブな反応か分析します。その結果、その人が保有している潜在的な強みが客観的に分かります。
http://human-logic.jp/
すぐにオンラインの受験を試みた。
5月8日
受験したFFS結果がメールで届く。
飽き性だし、好奇心でものごとに飛びつく性分であると自覚のあった私は、「D:拡散性」が高いという予測していた。
しかし、診断の結果は、「B:受容性」、「E:保全性」の高さを伝えるものであった。
予想に反した診断結果に戸惑い、少しナーバスになった。
5月9日
9時30分から1時間、オンラインでキャリアコンサルを受ける。
一人で集中して面談を受けたかったので、詳しい理由は告げなかったが、家族は散歩に出かけて協力をしてくれた。
ひかりさんは、私のこのコンサルに臨む決意を汲み、冒頭で「では、もう退職をしましょう」と切り出した。
そして、事前に届いていた診断結果の分析と私に適した解釈をしてくれた。
○受容性の高さ 共感力というよりは、人の役に立つという部分での貢献度を表す
○保全性の高さ 現状維持を指向しているわけではなく、順応性、改善する性質をいう
○弁別性の高さ 現実的、合理的なところを指す
ひかりさん曰く、「合理的にできることで人の役に立つこと」がFFS診断から導き出された私の強みだそうだ。
さらに、20年もの間、公務員として勤務したことは本人が思う以上に信用度も高く、安心できる材料であることを教えてくれた。
最後に、キャリアや地域性を生かしたビジネスの提案もいただいた。同世代の起業の先輩としてひかりさんの存在はとても心強いことだと感じた。
PR塾に申し込む
5月12日
PRプロフェッショナル協会のPR塾のオンライン体験会に参加する。
コロナ禍、そしてオンラインでの開催ということもあり、全国各地で多くの人が関心を寄せていることを知る。
長く憧れていた塾だが、少々、面食らう。
5月17日
長女の誕生日。PR塾に申込みをする。
35歳からトータルで7年通った大学院だけでなく、日常で講演会、博物館・美術館などに足を運ぶ私は情報や知識に貪欲なのかもしれない。とふと思う。
その後、夫に退職すること、そして再就職ではなく起業していくつもりであることを話す。
私の話を聞いた夫の反応は、まさに「開いた口が塞がらない」のそれを体現するものであった。
思わず笑った。
話すうちに理解を示し、最後には「言ってくれてありがとう」という感謝までもらってしまった。
私がまた何かを始めそうだと、薄々感じていたようである。
岩橋ひかりさんには、コンサルのお礼とともに、夫に退職の意を伝えられたこと、職場へこれから伝える予定でいることをメールで報告する。
コメントを書く