シカゴとニューヨークの距離感は全く分からない。
が、本書のまえがき「シカゴからニューヨークまででも、喜んで歩いてゆくつもりになる」を引用したレビューを目にして、私はすぐにフランク・ベドガー『私はどうして販売外交に成功したか』(ダイヤモンド社、1964)を買い求めた。
もちろん、ワンクリックで。
内容は、保険営業で成功したアメリカ人ベドガーの実体験を綴ったビジネス書であった。
翻訳小説を読んでいるようで、とりつきやすく、読みやすい。
ベドガーの、当たり前にみえることをコツコツと行うセールスを通して、商売の神髄が記されていた。
安易な感想ではあるが、「読んで良かった本」である。
以下、忘れたくない部分を記す。
計画を立て、行動を記録すること
ベドガーは、金曜日を翌週の計画と準備をする日に充て、月曜日から木曜日に営業活動(行動)をした。そして、行動した結果はすべて記録をした。
成功するためには、自分自身を監督することがまず、大事だというのである。
さらにベドガーは話し方教室にも通った。話術は、慣れが一番の上達方法であるという。あがり症の私には朗報である。
自発的な動機づけで納得させること
「○○はどうですか」という購入の提案は、購買意欲に結びつかず効果がない。
あなたにとって有益、あなたが得をすることだから○○したほうがよい、という相手のためを思った提案でなければ、人は動かない。
つまり、自発的な動機づけがあって人は初めて動けるのだという。
そこから、営業では、ほとんどの時間を相手への質問に充て、相手がものを考え、自発的に動けるようにする必要があるそうだ。
忘れてはいけない。
論点を整理してから面会すること
ベドガーのいう成功する方法のポイントをまとめる。
・面会の約束をとる。相手の時間を尊重することにもなる。
・会う前にしっかりと論点を書き留め、準備を行う
・信用を得る。競争相手を誉めることも有効
さらに、テクニックも挙げられていた。
損しては困るという相手の恐怖心を起こさせる、「私」ではなく「あなた」という言葉を多く使う等々……。
成功する方法といえば大層であるが、聞いてしまえば、当たり前に感じることである。しかし、ベドガーはひとつひとつに意義付けを行い、実践をしている。
それが、ベドガーの強みなのであろう。
人がセールスをしようとすると、必死に売り込みをかけたい気持ちになるが、理性を持って基本の手順を踏むこと大事なことなのである。
本の最後に、ベドガーは教訓を13項目並べている。ベドガーが毎週ひとつづつ実践していったものである。
必ず成功する秘策である。
早速、第一項目の「情熱」を意識して過ごした。確かに毎日を情熱的に過ごす意識を持つだけで、歩き方ひとつも変わってくる。
忘れないよう、ベドガー同様にカードに記すとか待ち受け画面にするとか工夫をこらして私も実践してみるつもりである。
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